4月の本部句会
日時:平成 20 年4月19日午後 1時30 分

場所:東京文化会館



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 4月の兼題は 、【花冷え】 (晩春・時候 )と【白き日曜日】 (晩春・宗教 )。予め作句された清記が句会に先立ち会員に配布され、その中から 10 句を選び、都内及び近県の会員が集まる。 当日欠席の会員は、句会の前日までに幹事宛てに郵便で選句を送付して来る。句会は出席会員 の選句の披講の後、宇咲冬男主宰の講評と選句の発表へ進む。主宰の選んだ特選句を特選に選んだ会員には、特選選句賞が贈られる。今月は江森京香さんが受賞した。
句会幹事〈渡部春水〉

★主宰の講評
 【花冷え】(晩春・時候 )= 花冷えという季語は活用がない。投句の中に「花の冷え」の句があったが、いただけない。角川や講談社の大歳時記でも「花の冷え」の例句あり。誤り。
 「花冷え」で一つの熟語、動かしようもない。四月初旬の仲春の桜の満開のころ、寒冷前線が通過 、時には雪を降らせる。 寒の戻りのときの花だから「花冷え」。この季語、時候になっているが「春愁」などの ,“人事”に入れたいくらい。情緒的だ。それだけに作句には注意が必要。入選句も秀逸句も少なかった。

 【白き日曜日】 (晩春・宗教 )-= この兼題には、みな悩まされたろう。 そのかわり、しっかり勉強したはずだ。あえて簡単に解説する。
 復活祭後の第一の日曜日を「白き日曜日」という。昔、新しい信者が復活祭に洗礼を受け、司祭より成聖の恩恵を意味した白衣を受け、これを一週間後の土曜日に脱いで、日曜日には普通の服でミサに行った。さて、この解説で俳句が出来た人がいただろうか。解説をなぞった句は大した作品にならない。「白き日曜日」を心象化しなくてはならない。しかも、これはキリスト教の 行事。とても難しい。



花冷え
 主 宰 吟   花冷えの空も花冷え行止まる    宇咲 冬男

<特選句>

花冷えと言う静けさに浸りけり   福安 弘子

〔主宰評〕
 実に「花冷え」の捉え方がうまい。お花見で さんざめいていた各地の名所も、ある日突然、寒冷前線に見舞われて ,万朶 の花もちじみ上がる。当然、、賑わった花の下には人影も見当たらない。日本人の花好きは、祭り好きに通う。花より団子の乱痴気さわぎ、ところ が、ふいの花冷えで ,人の心はしゅんとする。こんな時こそ、本当に独りで花を賞でられる。
<静けさに浸りけり >の措辞は、どんな表現よりも、花を愛する作者の風雅の心が伝わってくる。


<秀逸句>

花冷えや卍どもえの街灯り  仲澤 輝子
 主宰評一寒冷前線の通過で都会は「花冷え」。しかし、時は春も四月 。街の灯は明るい。この句のよ うに卍どもえの街灯りの中で、花冷えをとらえられたのはすごい。特選候補。
花冷えや土を起せば匂いける  青木つね子
 主宰評一この句、まさに時候の作品。「耕し」といわず <土を起せば >と用意周到。花冷えだから「土の匂い」が感じられた。
花冷えや季節の針は蛇行せり  鈴木 哲也
 主宰評一晩春になってもまだ春は定まらない。それが時候というものだ。きのう、満開の花に酔ったのに、朝から冷たい花の雨、または春北風に見舞われる。それを <季節の針は蛇行せり >と云い止め、突然の花冷えに見舞われた人間のあわてようを表現した。




白き日曜日
 主 宰 吟  汚れやすき人等に白き日曜日   宇咲 冬男

<特選句>

嬰の眼の碧めり白き日曜日  栗原 英甫

〔主宰評〕
 教会に抱かれてきた嬰は外人さん。白き日曜日の礼拝に嬰の眼が碧く見えたーと。これ白と碧との対比。これ以上のことを描くと、白き日曜日はややこし くなる。


<秀逸句>

邪心棲む胸あずく白衣の主日  小西  淑
 主宰評一破調だが、“邪心”と“白衣の主日”季語がうまくかみ合っている。
白き日曜日人それぞれの色を持ち  高尾秀四郎
 主宰評一この句はクリスチャンとして詠んでいない。 白い日曜日も、他宗の人は自由に春の色を着こなしている とー 。視点がよろしい。
ホスピスの白き日曜耀えり  近藤 美穂
 主宰評一末期ガン患者のはいるホスピスでも、白き日曜日はやってくる。復活しようもない。でも白い日曜日が耀かになるーと。悲痛な句。
おさげ髪黙して白き日曜日  野口きみ子
 主宰評一「洗礼を受けたばかりの少女の教会行き。復活祭のはなやかさでなく、その後の第一日曜日の静けさ。少女は戸惑っている。

(渡部春水 記)