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■ 冬男の歳時記 《夏》    平成14年 
  
 
 今年の花はあまりにも早く咲き、春のうちに葉桜となってしまった。 
 そしてもう「立夏」─。野山の緑がますます濃さを増して万緑となる。農村は田んぼ一面を黄に染める。”麦の秋”。その麦の収穫が終わると田植えが始まる。
農村は命の躍動の季節となり、一年中で一番忙しい。きゅうり、なす、桃、西瓜、ぶどう、梨などの成りものの手入れにも手が抜けない。 
 六月になると梅雨。日本列島は雨の恵みで潤う。利根川、信濃川、最上川、四万十川などの大河川は満々と水をたたえ、支流を含めて鮎をはじめとした川魚漁が盛んとなる。 
 山開き、海開きも始まり、若者も中年もそして実年の男女は、山へ海へ、夏の太陽を全身に浴びて出かける。 
 夏は祭の季節でもある。五月十三日の東京・神田明神の「神田祭り」にはじまり、五月十五日は京都の葵祭り、そして東京・浅草の三社祭りと、
祭り好きの江戸っ子といわず日本人が祭りに熱き血を燃やす。七月の「相馬の野馬追」は炎天下で勇壮な戦国絵巻をくりひろげる。 
 子供たちにとっては、生涯の思い出を作る「夏休み」もやってくる。五月から学校も土曜日がお休みになる。
ゲーム遊びはやめて外へ出よう。泥んこになって”大地の子””大陽の子”になろう。昆虫採集や魚釣り、縁日での金魚掬い。手花火やプールや海での水遊び。 
 花々も、薔薇をはじめとして、芥子、ダリア、夾竹桃、百日紅など真っ赤な太陽の色をもらって炎々と開く。紫陽花も向日葵も負けてはいられない 
 六月が終わって七月になると、今年も、もう一年の半分が過ぎる。老いも若きもたくましく、夏を生きよう。 
 
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